見切発車 あぷラビ+ 命を懸けて守るもの 

「われわれは今まで1000年以上の間虐げられてきた・・」
その男は静かな物腰で語り始めた
「そして、これまでの1000年間、それは自由獲得のための戦いでもあった」
その男の目に薄暗い闇が覆う
「まともに教育を受けられるものはごく少数。それ以外のほとんどの同胞たちは生きるのだけで手一杯だった」
両手を頭に抱え、男
「目の前で娘たちが虐殺されたことがあった。。目の前で親友が獣に追い掛け回され、手足を引きちぎられ、そして苦しがっている光景を悪魔のような笑みで笑っている屑ども・・」
語尾が荒くなる
「最近では、難民キャンプから少し離れた敵の食糧貯蔵庫に進入した戦友のペギーが逃げる途中やつらに捕まり、全身を鞭打ちにされた・・・!そしてその屍は引きちぎられ、ペギーは俺たちのところに もう・・・たとえ屍となった姿でさえも! もう戻ってくることはないんだ・・・」
ここで一呼吸。肩を落胆させる男
「私は・・・たとえこの身が朽ちようとも、空爆を食らい罪のない複数の住居が破壊され、そして大量の化学兵器により脅かされ、死と直面しようが守らなければならないものがある・・・それは祖国の独立と・・・」
視線を少しずらし
「私たちの・・・・子供たち――未来だ。」
会場から拍手、喝采が沸き起こる
定住といった場所もなく、常に各地を転々とし、そしていつも忌み嫌われていた彼ら

しかし、虐げられていた過去と決別の時が来る―――

溢れるばかりの喝采の中、その男は悠々と壇を降りていく・・・・
と、突然会場全体がまぶしい光に包まれる!
「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
「うぁぁぁぁぁっ!!!」
鼓膜が割れそうなほど大きな悲鳴があたりを支配する
「にげろぉぉぉっ!!!監査員の連中が踏み込んできやがったぁぁっ!!」
混乱しつつも彼らは散りじりに、思い思いの方向へと逃げていく
「まってろ、今武器を持ってくる!!」
「はやくしてよっ!!」
焦燥
少しでも出遅れればやつらの餌食になってしまう
いつものように、虐殺が始まるのだ
「あった!」
ゴッ!
巨大な振動があたりを襲う

ぶしゅぅぅぅぅぅっぅぅぅぅぅっ



「何でこんなにアレが群がってたのよあなた!」
「ごめん・・・前においといた半開封のようかん忘れてた・・・」