あぷラビ過去ログ 第1集
#01 見切発車 あぷラビ 就活
某NHK教育テレビの六時五十分より10分間放映されているなるみお姉さんの人形劇。
なるみ姉さんが自作自演でアプリンというりんごのお化けと、サマラビットという目つきの悪いウサギを操るコントである
「ねえねえサマラちゃん、僕、これから仕事をしようと求人雑誌を調べてるんだけどさー、何かいい仕事無いかなぁ?」
アプリンがanの雑誌を片手にサマラビットに話し掛ける
「んー・・・・あぷちゃんだったら・・・・」
サマラビット求人雑誌覗き込みつつ
「これなんかどうよ」
指を指すサマラビット
「えっと・・・なになに・・・?あ!ゲームセンターでのお仕事!いいねサマラちゃん」
ちっちゃい手を器用にぱちぱちさせるアプリン。
「ちがうよ。これだよこれっ」
求人誌に載ってた写真の――UFOキャッチャー
#02 見切発車 あぷラビ 格安旅行
「ねぇねぇ、サマラちゃん、箱根行ってみたくないー?」
ちっちゃいテレビモニタを眺めつつアプリンが喋る
「ぇー? そんなところに行っても疲れるだけだヨ」
興味無いそぶりを見せるサマラビット
「それに、お金無いから行けないよw」
「少しは夢を見させてよ!」
怒り出すアプリン
「いつもいつも同じ部屋でつまんないんだよ!」
ちっちゃな手でサマラビットにぼこすか殴りかかるアプリン
「あーっ!!わかったわかった! 何とかしてやるから落ち着けっ!」
あやすサマラビット
「ほんとに?」
「ああ。本当だよ」
急に態度が豹変するアプリン
「ねーねー!それじゃ箱根に連れてってよーw」
サマラビットにこびるアプリン
「ヨシわかった。ちょっと目をつぶってアプちゃん」
「うん。これでいい?」
バサッ
サマラビットはA4サイズ封筒をアプリンに被せ縫合した
#03 見切発車 あぷラビ なるみお姉さんの秘密
「ずっと気になってる事があるんだ」
アプリンが切り出す
「なにー?アプちゃん」
サマラビットが雑魚寝しつつ答える
「なる美お姉さんってどんな事してるヒトなの?」
アプリンが――左腕にはめている人形を扱い自分のほうへ、なるみ姉さんを眺める仕草をする
「ねーねー、なるみお姉さんって普段なにしてるのー?」
アプリンがなるみお姉さんに話し掛ける
「んーっとねー・・・、それじゃぁ、当ててみてアプちゃん」
何故かサマラビットが答える
「えっとぉ・・・正直に答えないとだめ?」
「だめ。」
「いつもパソコンの仕切りの所で居眠りしていr・・」
アプリン人形が飛び舞台袖にいるCVさんに直撃した
#04 見切発車 あぷラビ 交通指導
「あー、なるみ君・・・第二安楽小学校で交通指導の劇をやって欲しいんだが・・・」
なるみの上司、杉田課長が仕事を一つ持ちかけてきた
「交通指導ですか?」
「ああ。腹話術をして子供達に正しい交通ルールとマナーを教えて来て欲しいんだ」
「うーん・・・別にいいですけど、何故にその小学校で・・?」
不思議がるなるみ
「いや・・」
杉田課長が声を潜め
「取引先の鷺田さんの息子さんがその小学校に通っていてな、君の大ファンらしいんだ」
「・・・ほぅ。ならば喜んでw」
終業時間過ぎ
「劇の練習してるのー?」
同僚のさつきがなるみに話し掛ける
一生懸命台本を作っているなるみ
さつきが何気に手元にある一文に目を落とす
『白のセダンで男性が二人乗っている車は覆面パトカーには気をつけようね』
#05 見切発車 あぷラビ 冷凍庫
「よい子のみんな、げんきかなー?v」
明るい声でテレビに向かい話しかける半袖姿の歌のお姉さん
「今日も元気に歌って踊りましょうv」
軽快な音楽と共に子供たちや人形たちと踊りだす
そして、画面が切り替わり――
「サマラちゃん、もう夏になって暑くなったねー。夏バテしてないかなー?」
同じく半袖姿のなるみ。アプリンとサマラビットは相変わらず
「そうだね、あぷちゃん。」
テーブルの死角で毛布を腰に巻き鳥肌立たせつつ相槌をうつなるみ姉
#06 見切発車 あぷラビ お風呂
「あー。なんか梅雨に入ってじめじめしちゃってるねサマラちゃん」
アプリンがだるそうにうちわでパタパタ扇いでいる
「パタパタやるのやめよーよ。もっと熱くなっちゃうよー」
相変わらずごろ寝しているサマラビット
「それにさー、なんか汗臭くなちゃったし、ほら、汚れちゃったからお風呂はいりたーい!」
両手をパタパタさせて主張するアプリン
「あー。わかった、わかったからそれ以上動いて熱を放射しないでくれ・・」
「サマラちゃんほんとにー?」
表情一転。憧れの眼差しになるアプリン
「あぷちゃん、ちょっと目を閉じてね」
「こう?」
ガタッ・・・ボトッ・・ジャァァァ・・ァァ・・・ウィィィィィィィィィィィィィン
「・・・あ、漂白剤入れるの忘れた」
#07 見切発車 あぷラビ 蛾
「ねえねえサマラちゃん、もう夏だから、これこれ見てみてv」
夏モードの青と黄色を基調とした蝶の模様のワンピースを着ているアプリン
「わー。これはこれはずいぶんとw」
軽く流すサマラビット
「どうどう?似合ってる?似合ってる?v」
「んー・・・・ん?」
と、さっきまで興味のなかったサマラビットが突然反応する
ぺち
「サマラちゃんなにするんだよぅ!」
涙で抗議するアプリン
「いやね、蛾かと・・・」
#08 見切発車 あぷラビ マヨネーズ
「ねぇねぇ、サマラちゃんサマラちゃん、から揚げにマヨネーズをかけるとおいしいの知ってた?」
アプリンがマヨネーズを持ちつつ話しかけてくる
「うーん。でも、揚げ物にマヨネーズなんて使っちゃものすごく脂っこくない?」
サマラビットが答える
「でもでも、マヨネーズは食の王様だよ。お米でも果物でもけっこう合うんだ!」
「・・・・・・んー」
サマラビットは少し考えるポーズをとる
「ああ、あぷちゃん、マヨネーズ貸してw」
「どうぞ」
「アプちゃん目つぶっててね、あ・・ちょっと痛いかもだけど我慢してね」
と言いつつサマラビットはマヨネーズをアプリンにかけた
#09 見切発車 あぷラビ 大人の事情
サマラビットになるみ姉さんの二人がいる
「・・・・あれ?アプちゃん今日いないみたいだ・・つまんないのー」
両手をパタパタさせつつサマラ
ドンドン・・
部屋のドアからノックの音が聞こえる
「はーい。開いてるヨ」
「失礼。私こういうものです」
と、犬のドギーさんが保安官バッチを見せつつ入ってくる
「どうしたのです?」
「実は、先日未明に捜索願が出され・・・アプリンさんが失踪しているのですよ」
ギクッ・・・と露骨に反応するサマラビット
「そそそ・・・そぉなのですかw はははは、たいへんですねぇww」
「今彼の足取りを追っているのですが、ちょうどここに来たあたりから消息が掴めなくなっておりまして・・・少々調べさせてもらいたく」
犬のドギーさんがサマラビットにらみつける
びびるサマラビット
「うぅ・・・そんなぁ・・」
深い沈黙
「なるみさん! アプリン人形乾燥機の中から見つかりました!」
スタッフの筑林くんの声がこだまする
「どうやら私の知らないところで事件が無事に解決したようですな」
赴き深い静かな口調でドギーが言った
#10 見切発車 あぷラビ ミキサー
「どうもーv バンバンお料理のコーナーですv 今日は、なるみ先生とアプちゃんとサマラちゃんにゲストで来てもらってますv」
元気な司会のお姉さん、ユリカさんがフリルぴんくエプロン姿で元気にしゃべる
「こんにちわーw」
にっこりと微笑み、アプリンを机にうつ伏せに、そしてサマラビットの手をパタパタふり挨拶をする
「今日は、正しいジュースの作り方をやります!」
「はーいw」
のりのりなユリカさん
「まず、グレープフルーツを剥いて皮を絞り・・・」
解説を始めるユリカさん
それを横目にみていたなるみは
「そしてりんごを剥いで――」
アプリンの人形をサマラビットの手で剥ぎ
「果汁を絞りとりますv」
#11 見切発車 あぷラビ この業界に入る理由
「ねぇ、なるみおねーさんなんで働いてるの?」
なるみが控え室で人形の調整をしている。広告代理店の鷺田さんの小学4年生になる息子さんが興味気に聞いてくる
「なんでって・・・w そりゃーお金稼ぐためよ」
あまり関心なさげに、アプリンの四肢を刺繍しほころびを直す
「ほかにもお金稼ぐ方法いっぱいあるじゃん。何でこの仕事えらんだの?」
サマラビット人形に手を出し弄りつつ聞いてくる鷺田少年
「んー・・・就活してて、いろいろ見境なしに履歴書送ってたらいつのまにか・・・さ(笑」
顔をしかめる鷺田少年。理解してない
「・・・・・・・」
縫うのをやめ、鷺田少年に目を合わせ沈黙をするなるみ
「ああ、ごめんごめん」
「子供が大好きだからだよ」
#12 見切発車 あぷラビ 挽回
「はぁぁ・・・ねむいよぅサマラちゃん・・」
眠たそうに頭を抱えるあぷりん
「どうしたのあぷちゃん?」
「ここ最近ずっと本にはまっちゃって・・・なかなか寝付けないんだ」
「・・・・本?」
不審気に語尾を上げるサマラビット
「あぷちゃん本読めるんだー・・・・てかどんな本読んでるのー?」
興味を抱くサマラビット
「すごいでしょv」
一呼吸置き、本を取り出し表紙をなでまわしつつアプリン
「ウサギの飼い方」
#13 見切発車 あぷラビ コンピュータウイルス
「ねぇ、最近コンピューターウイルス流行ってるみたいね」
同僚のさつきがパソコンをボーっとしながらなるみに話し掛ける
「ああ、スパイウェアだっけ?起動が重くなるしやだよねー」
うんざりした様子で返答するなるみ
「ねー。だからウイルス対策として手袋嵌めてからキーボードに触るようにしたよ」
「・・・・・・うん。そうだね。」
#14 見切発車 あぷラビ 洗濯機
「はぁ・・・つかれたなぁ・・・」
いつもにまして元気のないアプリン
「あぷちゃんどうしたの?」
「うん。。ちょっと掃除してさ・・・ちょっと目が回っちゃって・・」
タオルで何かを拭く動作をしつつアプリン
「へー・・・おつかれさまー。」
「で、どこを掃除したの?」
あたりを見回すサマラビット。そして自分の体をやたら主張したがるアプリン。
「ん・・・・あぁ・・・いい湯だったかい?」
#15 見切発車 あぷラビ メモ
「ねぇ、このファイルみんなごっちゃごっちゃになって見分けつかなくなったんだけどどうしたらいいかなぁ・・」
同僚のさつきがなるみに話しかける
「んー・・・・ラベリングでもしたらどう?シールみたいなのに名前書いて貼り付ければわかりやすくて良くなるんじゃない?」
「わかった。やってみるよ。ありがとねw」
なるみの提案を素直に受け入れるさつき
「誰だよ・・・・こんなことした奴は」
目の前のパソコンディスプレイに大量のポストイットが張られていた
#16 見切発車 あぷラビ 犬のドギー
「犬のドギーさんって何でお巡りさんになったんですか?」
アプリンが犬のドギーさんに話しかける
「んー・・・難しい質問だね・・」
大人の風格をかもし出しつつ顎を触り考える犬のドギーさん
「私が若かったころ、大きな街に出て道がわからなかった時があったんだ。
そんな時に親切に声をかけてくれていろいろと教えてもらったのがきっかけだったのかな・・・?」
と、一旦会話を切り
「それからお巡りさんになりたくなって一生懸命勉強し始めたんだよ」
懐かしい趣で語りだした犬のドギーさん
「へぇー!」興味ある感じで反応するアプリン
「ということで僕はお巡りさんになるんだ!」
サマラビット相手に自慢たらたらに話したアプリン
「それじゃぁ、あたしはドロボーでいいよ。アプちゃん目をつぶって10秒数えてーv」
「・・・・うんw」
#17 見切発車 あぷラビ 不燃物
「あー・・・つかれたぁぁあぁぁぁ!」
アプリンが叫ぶ
「なんか・・・あぷちゃんいつも疲れてるんだね・・・」
興味がないといった具合にサマラビット
「ずっと寝ていたいよー。サマラちゃんは疲れないの?」
話を振るアプリン
「十分睡眠とってるからね。――あぷちゃんは布団が悪いんじゃない?」
「うーん。じゃ、サマラちゃんなんかいいのちょうだい頂戴頂戴!」
手足をばたばたさせて主張するアプリン
「うぁっ!・・あーわかったわかった、わかったから落ち着け」
「・・・・ホント?v」
まるで仏を拝むかのように透き通ったまなざしをサマラビットに向けるアプリン
「はい。」
渡されたのは――――東京都指定ゴミ袋
#18 見切発車 あぷラビ それは“優しさ”
「君たちは、信号機の前で困っている老人がいたらどうする?――――――」
犬のドギーさんが問いかけてきた
「手を差し伸べて上げて渡らせてあげるー」
小さな手足をばたつかせ無駄に元気に答えるアプリン
「サマラちゃんはー?」
「んー」
少々考え込み、サマラビット。
「私なら・・・・・・・そっと背中を押してあげる」
#19 見切発車 あぷラビ 小さな悪魔
ガタッ
「悪魔がやってくる・・・・助けてくれっ!!」
突然ドアをものすごい勢いで開け放ち、アヒルのピージェーさんが雪崩れ込んでくる
「ど・・・どうしたのっ!大丈夫?」
戸惑うアプリン
「悪魔がっ・・・ああっ!!もう遅いもうだめだ死にたくないもう少し休ませてくれぇぇっ!!」
水を失った金魚のように口をパクパクさせつつ、アヒルのピージェーさん
「・・・ぇ?・・・ぇ?」
混乱するアプリン。そしてサマラビット
ガタッ
もう一度ドアが開く音
「ああああああああああああっ!!!」
絶叫するアヒルのピージェーさん
「ぱぱー!はやく遊園地にいこうよー!」
そこにはアヒルの子供が――不満げな声をあげる
「・・・・いってやりなよ。行かないと今度はおっきな悪魔がやってくるぜ」
そして、サマラビットがアヒルのピージェーさんを諭した
#20 見切発車 あぷラビ 正しい観戦方法
「あー・・なんか天気悪いねー・・・」
さつきが椅子の背もたれに寄りかかり、窓越しに外を見上げぼやく
「雷になるらしいよ。予報によると」
来週プレゼンを控えているなるみは書類と電卓をにらめ付けつつ軽く反応する
「雷かぁ・・・v」
何故かウキウキするさつき
「まぁ天気が何であろうとあんまり関係ないんだけどネ。今日帰れるかどうかも怪しいし・・」
勢いあまり電卓のディスプレイ部を叩きつつ。なるみ
「大変ねーv なるみがんばれーv 私は夕方から友達と野球観戦v」
無責任に言い放つさつき
「誰もいない球場で羽広げてらっしゃいw」
疲れた表情で軽口を叩くなるみ
「?」
きょとんとした様子のさつき
「・・・球場には行かないけど」