あぷラビ過去ログ 第3集
#41 見切発車 あぷラビ めがねめがね
「あ、また停電だ・・・」
アヒルのピージーさんが自宅で新聞を読んでいると、あたりがいきなり真っ暗になった
「まったく。最近は本当に停電が多い。いったい電力会社は何をやってるんだ!」
暗がりの中、懐中電灯を使い足場を照らし、ブレーカーの部分までピタピタ歩くアヒルのピージーさん
「ぱぱー!」
息子のロイが背後から飛びついてくる
「こら!ロイ! やめなさい! それに暗い中騒ぐんじゃない!」
怒るアヒルのピージーさん
「暗くなんかないよー!」
無邪気に、そして邪気に笑顔を見せるロイ
「とにかく・・・ブレーカーを―――あれ?落ちてない・・・」
ピージーさんは困惑し、よく見るためにサングラスをはずしてもう一度確認した
#42 見切発車 あぷラビ やすみ
「そういえば、なるみって休日何してるの?」
ふと気になりさつきがなるみに問いかける
「休日・・・?」
疑問形にして聞き返すなるみ
「あ、いやなんでもないよ・・・・お仕事頑張ってねw それじゃ私はこれから横浜戦見に行ってきま――」
#43 見切発車 あぷラビ MAX30
「ちょっとまて。なんかクーラー効きすぎじゃないか?」
翔一が川谷に文句を言う
「ああ、ちょっと寒すぎだな。よし、少し温度上げるか」
重い腰をあげ、川谷がリモコンに手を出す
「腰がちょっと痛くなってきたしな」
川谷が持っているリモコンを翔一が奪う
「暖房MAXいきまwwwwwww」
「うはwwwwwwwwwおkwwwwwwww MAX30度GO!!!wwwwww」
#44 見切発車 あぷラビ スゴロク
「よし、俺自作のスゴロクやろうぜwww」
川谷がレポート用紙を束ねたA4の紙を取り出す
「おkwwwww って自作かよ。お前も暇だなww」
川谷と同じぐらい無駄にテンション高い翔一が答える
「それは言うなwww よし、やろうぜ」
そして川谷はペンを取り出し、レポート用紙に文字を書き込む
少し不審な表情をする翔一。それを察知してか、川谷は答える
「あ、これから作るwwww 気にしないでサイコロ振ってくれwwww 内容今考えてるからwwww」
#45 見切発車 あぷラビ 勇敢なる戦士
「はぁ・・・はぁ・・・この俺としたことがっ!」
満身創痍で佇むのは勇敢なる戦士ラッシー。が焦燥している
「ラッシー! 大丈夫か! こっちに戻って来い」
声が上部の棚の上から聞こえる
目の前にはラッシーの背丈の10倍はあるだろうという魔物が目を怪しく光らせ、気配を探っている
「俺は大丈夫だ。ルード。こいつは俺が引き止める。その間にお前はペギーを連れて安全な場所に避難してくれっ!」
呼吸も非常につらそうに、しかしラッシーは強がり、棚の上にいるルード隊長に対して答える
「・・・・・わかった。ラッシー。こんなところでくたばるなよっ!」
棚の上から気配が消える
化け物はこちらに気づき、満面の笑みを浮かべラッシーへと近づいてくる
「へへへっ・・・ようやく気づいたかこのウスノロドブ猫が。そうだ。貴様の相手はこの俺だ。―――かかって来い」
化け物の巨大な前足が振りかされる
「ねぇ・・・ラッシーは?――大丈夫だった?」
小声でルード隊長に尋ねてくるペギー
「・・・・・・・。」
#46 見切発車 あぷラビ 試験
「すまねえw 祐一! 基礎化学Tのノート写させてくれないか?」
大学生の芳樹君が祐一に頼み込んでくる
「ん?あ、別にいいが・・・?」
不審がる祐一
「ありがとぅ! これで何とか単位取れそうだぜwww」
祐一のノートを奪い取るようにして芳樹はノートを獲得し、小躍りする
「・・・なぁ、お前さん基礎化学授業出てたか?」
祐一が気になる様子で芳樹に問いかける
「いや、授業出てたらノートのコピーせがむわけ無いだろwwww」
開き直り、堂々とした態度を取る芳樹
「――試験、先週の水曜日だったんだが・・・それでもノート必要か?」
#47 見切発車 あぷラビ 起動しない
「あれ? このコンピュータ起動しないヨ・・・」
さつきがパソコンの前で立ち往生している
「ディスプレーの電源入ってますか?」
後輩の川谷君が話しかける
「うん」
「ちゃんとコンセントにプラグが入ってるか確認した?」
同僚のヒトミが尋ねる
「うん」
さつきはそれぞれ確認して答えた
「さつき、電源スイッチ―――そこにあるおっきなボタン押した?」
無関心を装ってたなるみが痺れを切らして喋る
「ううん」
#48 見切発車 あぷラビ 火災
「火災報知器があったんだ・・・ 知らなかった」
通路にて。さつきがぼそりとつぶやく
「ああ、そりゃ備え付けられてるでしょうね。」
特にこれといって関心を示さず、なるみが相槌を打つ
「いざ火事になった時に押すんだよね?ここのガラスみたいな部分壊して」
対照的にすごく興味を示すさつき
「押しちゃだめだよ」
とりあえずなるみが言う
「押さないヨ。 今はまだ」
#49 見切発車 あぷラビ 花火大会
「どうやら、大いなる母たちは花火大会というものに夢中なようですね」
ペギーが空を仰ぎつつ、ルード隊長に話しかける
「花火とは、火を扱った一種の芸術だというが、我々も真似してみないか?」
ルード隊長が答える
「しかし、火を扱うことは大変危険であります」
ペギーがしかめる
「危険だからこそ、大いなる母は花火"大会"を行い、己の勇気を試すのであろうよ」
※大いなる母=人間
#50 見切発車 あぷラビ 水の味
「なるみってミネラルウォーター買ってるの?」
さつきがなるみに話しかけてくる
「うん。ジュースとかコーヒーとか甘かったり変に味がついてるのだとどうも・・ね」
2リットルの天然水を足元に置きつつなるみが答える
「わざわざ買いに行かなくてもさ、入り口右隣にあるあのウォータークーラーの水使えば?」
さつきが提案する
「あれって水道水をただ単に冷やしただけじゃなかったっけ?冷たいだけでおいしくないよ」
なるみが答える
「・・・・全然気づかなかった」
#51 見切発車 あぷラビ 人身事故
『えー。ただ今、菊名、大倉山間にある踏み切りにおきまして、人身事故がおきました。
それに伴いダイヤが乱れております。お急ぎの途中申し訳ございませんが復旧までもうしばらくお待ちください』
なるみとさつきが電車に乗っている時に車内アナウンスが流れてくる
「人身事故っていうと、やっぱり・・・・?」
隣で半分寝ていたさつきがいつの間にかおきていてなるみに問いかける
「うん。でも車が線路上でエンストしたりしたっていう線もあるんじゃない?」
なるみが答える
「でも人身だよ。人身」
さつきが突っかかってくる
「――きっと、人が線路上で立ち呆けてたんだよ」
#52 見切発車 あぷラビ 成兎
「あついー・・・」
サマラビットがいつものようにだれている
「夏休みー・・・やることないー」
雑誌は見飽きたようで無造作に山積みにされている
「アプちゃんいつの間にかいなくなってるしー」
トントン・・・
ドアにノックの音がする
「開いてるよー。どうぞー」
「失礼。サマラちゃんスイカもって来ましたよ。食べますか?」
犬のドギーさんがやってくる
「おおっv ありがたぅv」
飛び起きてドギーさんを迎えるサマラビット
「・・・・ところでサマラちゃん、君は普段何して稼いでるんだい?」
問いかけるドギーさん
「わたし子供だからはたらいてないー」
スイカを切り分けつつサマラビットが答える
「でも君は成人式に今年来てたじゃないか」
#53 見切発車 あぷラビ 時差
「あ、ノリコさんこんばんわです」
客のいないやる気のない店に近くの大学に通っているノリコさんがやってくる
「ああ、おはよーさん。マスター」
やる気のない挨拶と共にノリコはその店のマスター、伊藤さんに返答をする
「もう日が沈んでますよ」
苦笑しつつ、麦茶を差し出す伊藤さん
氷をつつきつつノリコが答える
「サマータイムですよ」
#54 見切発車 あぷラビ 最強の戦士部隊
「よしっ!!宿敵ミーちゃんを倒すために戦うぞお前ら!」
勇敢なる戦士ラッシーが部下達の士気を鼓舞する
『おおぉぉぉっ!!』
一同、大声で絶叫する
「一度は苦渋を飲まされたが、今日とて今日こそはちゃんと片をつけようじゃないの」
ラッシーが棚の上から巨大な空間をにらみつける
「ミーちゃんはどこにいる?」
ラッシーが身近にいた部下、トワイスに問いかける
「多分、巨大な給水施設にあるタイルで涼んでいると思われます!」
「そうか。おい野郎ども。いくぞおるぁぁぁぁっ!!」
『おおぉぉぉっ!!』
ラッシーを先陣に多数の部下が壁を這い風呂場に向かう
「ラッシー隊長!自分には来月出産予定の妻を持っているのであります!まことに悔しいのですが今自分
が朽ち果てるわけにはいかないのでありますっ。」
部下の一人が土下座していう
「しょうがない。妻の出産に立会い、立派な親父になって来い」
「隊長! 自分にはまだ幼い妹がいて・・・・やっぱ無理でありますっ!」
もう一人の部下もいう
「・・・・そうか。仕方がない。家に帰って妹を大切にしてあげなさい」
ラッシーがそう答え、部下は去っていった
「隊長!」
「・・・・今度はなんだ?」
最後の部下トワイスが声を上げる。しぶしぶ応答するラッシー
「自分には・・・・愛すべき妻も恋人も、そしてまだ女性を知らないのでありますっ!」
「お前も帰りたいのか――あー。お前も帰っていいぞ」
やる気なくあしらうラッシー
「そうではありません! 自分、今帰った奴らをぶちのめしてよいでありますかっ!」
#55 見切発車 あぷラビ 守るもの
「し・・・襲撃だぁぁぁっ!!」
ごう音と悲鳴がこだまする
「お前ら。戦いますぞこら!」
逃げ出す部下トワイスをひっ捕まえ、戦士ラッシーが言う
「自分は子供達を安全に避難誘導するであります!」
首を捕まればたつかせながらトワイスは叫ぶ
「あんた、ワレの部下でしょ。それにここの郷をあんたが守らないで誰が守るっていうの」
ラッシーが言う
「・・・・っ!」
はっとした表情を浮かべるトワイス
「自分、間違っていたであります!! 戦士らしく戦うであります!」
男泣きしつつ、トワイスが答える
「よく言った。さて・・・・・・行きますぞ」
戦士ラッシーが静かな口調で切り出す
「よし、あんたはここを死ぬ覚悟で守りなさい。ここを突破されたらおしまいだよ」
ラッシーがトワイスに命令する
「了解でありますっ!」
「それじゃ、ワレは避難誘導するだ」
とその場を去ろうとするラッシー
「ちょっと待ったであります!ラッシー隊長ずるいであります!」
食い下がるトワイス
「何いってるの。 子供達を守らないで何を守るっていうの。後はがんばれ新入りサン」
#56 見切発車 あぷラビ 健康
「私は健康に気を使ってます。」
ピージェーさんが言う
「お酒も飲みません。タバコもやりません。妻以外の女性に手を出しません。それに、博打なんてそんな恐れ多いこともしません。」
それを聞いていたサマラビットが尋ねる
「何が楽しくてそんなに長生きしたいの?」
ストレスであいた十円ハゲを見せて笑いつつピージェーさんが答える
「長生きできるはずない。」
少々あっけに取られつつ、サマラビットが反応する
「それじゃぁ・・・・・健康のためになんかヤったら?」
#57 見切発車 あぷラビ お盆
「ねぇ・・・そういえば最近あぷちゃん見ないようだけれど、サマラちゃん何か知らないの?」
アヒルのピージェーさんがスイカをサマラビットへ届ける途中、サマラビットにたずねる
「・・・・え? あ、いや、私はその・・・」
珍しく口ごもるサマラビット
「なんだか、ずいぶんとここも静かになったもんだねぇ・・」
何気に居座り、スイカを食べつつピージェーさんがぼやく
「まぁ・・・・ね。でももう1、2週間ぐらいしたら騒がしくなるよ」
サマラビットが少し笑いつつ答える
「? なにがあるのだい?」
気になりサマラビットに問いかけるピージェーさん
「お盆が終わって戻ってくるんだヨ」
#58 見切発車 あぷラビ 椅子の音
「このいすぎしぎし鳴ってウルサイよー」
文句を言うさつき
「あー。それ安物だししょうがないと思うぞ」
さつきが座っている椅子とは違う種類の椅子に座りつつなるみが適当に答える
「あー。気が散るなぁ・・・まったくもう」
椅子をきしませながら不平を繰り返すさつき
「まぁ、慣れじゃない? そのうちならなくなるようなコツをつかむさ」
苛立ちが伝染したのかなるみが語尾を少し荒くして答える
「・・・・あれからしばらくたつけど、さつきずいぶんと静かになったね。どうだい居心地は?」
と。隣のブースからさつきを覗くなるみ
そこには爆睡しているさつきの姿が
「――ああ、居心地はばっちりのようね」
#59 見切発車 あぷラビ 毒見
「大変であります!何者かによって食糧備蓄庫に毒が紛れ込んでいたようであります!」
部下のトワイスが隊長であるラッシーに一報を伝える
「――なんだと! それはまことか」
戦士ラッシーが確認する
「はっ!! 同士リーバが夕べにオレンジ風味なスフレをつまみ食いしたところ中毒症状を起こし現在治療中なのであります」
詳細を説明するトワイス
「何たることだ! それでは食糧備蓄庫にある食料に毒が紛れ込んでないかどうか今すぐ確認するのだ!」
戦士ラッシーが声を上げ、部下たちに命令する
『いえっさー!』
「はぁーv 食った食ったv」
部下の一人が満足そうにおなかを叩く
「久しぶりの食い放題だったな」
#60 見切発車 あぷラビ ラッシーの過去
「隊長!隊長には愛すべき恋人は居るのでありますかっ!」
酒の席、トワイスが隊長である戦士ラッシーに尋ねた
「――私がか?」
冷酷なまなざしでトワイスを見つめる
「・・・・い・・・いえ!ただ聞いただけであります!他意はないであります!」
聞いてはならない問いをしてしまったような気がしてトワイスは必死に自己弁護をし始める
「――あれは、3年前の冬のことだった・・・」
トワイスそっちのけでモノローグ状態に突入する戦士ラッシー
「あ、隊長目が逝ってるのでありま・・・
「・・・・・・というわけだったのだ」
ラッシーが長い、そして長い話を終えた
「――ってあんた聞いてるの?」
あさってを向いて今晩の晩飯について考えていたトワイスにけりを加えつつラッシーが問いかける
「もちろんでありますっ!」
けりを諸共せずに元気に答えるトワイス
「それじゃ、私が言ったことを復唱しなさい」
無茶なことを言うラッシー
「えっと・・・自分、頭はよいほうではありません!しかし、わかったことがあります」
しゃべりだすラッシー
「ほう。言ってみよ」
この応対に興味を持ったラッシーが問いかける
「ラッシー隊長殿はロリコンであったわけであります!」